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電通@『日本/権力構造の謎』②~偏った意見調査で世論を作り上げる権力

246756の続きです。
『日本/権力構造の謎』(カレル・ヴァン・ウォルフレン著)リンクより362-369pから転載します。
引用元:『電通@『日本/権力構造の謎』』(カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記)リンク
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電通のもう一つの機能は、官僚および自民党のPR活動をしたり、《世論調査》を通して国民の《伝統的な価値》を支えることである。電通は、総理府及び自民党が必要な情報を収集し、偏った意見調査を通して《世論》を作り上げる手伝いをする。自民党の選挙キャンペーンというもっとも手のこんだ部門は、電通が引き受けている。原子力発電所の安全性の宣伝や、さまざまな省庁の企画に関する宣伝なども扱っている。1970年代後半に、一連の野党系市長や知事を退陣させる政治的策動をとりまとめ、政治的に重大な地方消費者運動や反公害運動に対抗する反キャンペーンを展開したのも、電通である。

このような官庁および自民党のための仕事は、主に電通の《第九連絡局》でおこなわれ、ここには、建設省、運輸省、農水省、郵政省、文部省、大蔵省、総理府の各省を担当する別々の課がある。公式には民営化されたが実際には以前とほとんど変わっていないNTTやJRなどの公共企業も、この局が扱っている。この第九連絡局は、総理府の広報予算の三分の一以上、他の省庁の同四〇パーセントを吸収する〔原注3〕。また、自民党の広報宣伝予算についても、電通が独占に近い形で自由に使っている。

自民党と電通とがこのような親密な関係を保てる理由の一つは、電通は寡占によって実業界の顧客からひじょうに高い手数料をとれる、したがって、いつも《政治資金》の足りない自民党は、安くしてもらったり、支払いを急がなくてもよいからである。電通の第九連絡局は、1972年、田中角栄内閣発足直後に作られた。その一年後に、電通は注目すべき『自民党の広報についての一考察』という報告書を刊行し、その中で、自民党はすでに記者クラブ制度を通じて大手新聞、テレビ、ラジオの記者とはかなり有利な関係を保っていたが、新聞社発行以外の主要週刊誌との関係は、まだ十分に《決められたルール》にもとづくものではなかったと、よく引用される主張をしている。

電通のおよそ四〇パーセントに当たる売上高をもつ、日本で二番目に大きい広告代理店博報堂もまた、管理者、とくに財政金融界の管理者たちの間に安住している。この会社の社長が二代続いて、またほかにも数名の取締役が大蔵省からの天下りであるから、当然ともいえる。

だが、もう少し小規模で、官僚のために宣伝活動を展開して、最も興味をひくのは、ひじょうに積極的な東急エージェンシーである。電通は、通常、官僚を通じて仕事の注文を受けるのだが、中曾根康弘が首相在任中は、彼自身が直接東急エージェンシーに電話をかけて指示した。このような緊密なつながりがあるのは、東急グループの総帥で、1987年まで日本商工会議所の会頭だった五島昇(1989年死去)が、東大の同期生・中曾根を、彼の人脈の頂点においていたからである。

東急エージェンシーが担当した最大の仕事は、中曾根が戦後のタブーを排除する計画の一部として遂行し論争の的となった、建国記念の日に関連する祝賀イベントである。対象範囲がさらに広いもPのとしては、中曾根の行政改革案に関連し全国で展開された宣伝キャンペーンがある。このキャンペーンでは、主婦組織などから参加者を募って圧力団体を作り、市中行進や国会前デモを組織した。1983年3月には15000人の《デモ隊》動員に成功している。このような大きな仕事を担当して金銭的には損失があったが、人脈のつながりがいっそう強固なものになったおかげで東急エージェンシーは急成長する広告代理店になった。

〔略〕自民党政府が次々と出す《政策要綱》は、たいてい広告コピーのように聞こえるのだが、それは具体的な政治理念のかわりに出てくるスローガンが前記の代理業者のどれかで作られたものだからである。

〔原注〕三神博「言論の自由を否定する電通」(猪野健治編『電通公害論』日新報道、1971年 107-8頁)

〔原注2〕マスコミ関係産業労働組合共闘会議編『マスコミ 一九七一』(労働旬報社、1971年 292頁、猪野健治「曲がり角にきた電通帝国主義」(猪野健治編『電通公害論』日新報道、1971年 50頁以下)

〔原注3〕大下英治「総合《情報》商社 電通のタブー」(『創』1977年12月 137頁)、田原総一郎『電通』(朝日新聞社、1984年 40-4頁)
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猛獣王S
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