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TPPをめぐる俗論を反証する③~「貿易を拡大しないとやっていけない」論のまちがい

続きです。
『TPPをめぐる俗論を反証する 緊急出版『TPP反対の大義』より』(農文協の主張) より転載します。
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●「貿易を拡大しないとやっていけない」論のまちがい

日本は貿易立国だから、貿易を拡大しなければやっていけないというのも、TPPやむなしの風潮を支える「わかりやすい」話である。しかし、本当にそうなのか。この点を本格的に論じているのが、関曠野氏(評論家・思想史家)の「世界貿易の崩壊と日本の未来」である。そこでは、「WTOやTPPの論理でもある『世界貿易』は常識的な意味での貿易とは別のもの」であり、それは、「米国が第二次大戦後に世界に強要した通商システム」であり、それが今、危機を深め、この延命のための「体制の危機の輸出」こそ、グローバリゼーションの本質だとしたうえで、その崩壊を予測している。だから、「TPPに参加しないと日本は国際的に取り残される」という風潮に対し、「何から取り残されるのか。タイタニックに乗り遅れるのは結構なことだ」ということになる。一方、日本が貿易立国だという見方に対し、関氏は次のように述べている。

「日本は例えば中韓両国のように、国内市場の狭小さや農民の貧困ゆえにアクロバット的貿易立国をやらざるをえない国ではない。世界銀行の統計では、日本経済の輸出依存度は16%、貿易がGDPに占める比率は世界170国中で164番目である。企業が国内市場だけで商売できる?ガラパゴス?が可能な国は世界でも日本だけである。

TPPへの参加は国内市場が飽和して輸出が頼りの大企業の要求だが、大企業は稼いだ外貨を溜めこんだり海外で投資したりしていて国内の経済循環に貢献していない。中小企業がベテラン従業員を失うまいと必死で雇用を維持しているのに、トヨタやキヤノンはさっさと派遣切りをやった」

●雇用は守られず、逆に破壊する

この雇用の問題について、「TPPと日本農業は両立しない―TPPは日本を失業社会にする労働問題でもある」と森島賢氏(立正大学名誉教授・元東京大学教授)が述べている。

「農家の若い人の兼業について、一つつけ加えたいことがある。それは、TPPに乗り遅れると、日本農業は生き残れるが、日本経済は沈没する。そうなれば、農村の若い人の兼業する機会がなくなり失業する、それでいいのか、という脅しについてである」

「TPPは、いうまでもなく、農産物貿易の自由化だけを目的にしている訳ではない。特に問題なのは、EUのように、労働者の、国境を越えた移動の自由化を重要な目的にすることである。とりあえずは、そのための突破口として介護などの特殊な労働者の移動を取り上げるだろうが、こうした政治哲学を容認するなら、やがて、普通の労働者の移動も認めることになる。

そうなれば、自由貿易圏内の労賃は同じになる。例えば、中国の労賃は日本の約10分の1だから、中国の労働者が大量に日本に来るだろう。その結果、日本人の賃金は、中国人の賃金に限りなく近づくことになる。日本人の労働者が、その賃金では生活できないから不満だ、というなら会社を辞めるしかない。会社は代わりに、もっと賃金が安い中国人労働者を雇うだろう。だから、会社は困るどころか、賃金が下がることを歓迎するだろう。それゆえ、経団連会長の発言として伝えられるように、目先しか見えない財界の一部は、日本への移民を奨励せよと主張するし、そのためにTPPに乗り遅れるな、と脅すのである」

「この主張の行きつく先には、これまで先人たちが培ってきた失業率の低い、安定した、安全な日本の社会を根底から覆し、某国のように、わが身は自己責任で守る、という銃社会に変えようという主張が待っている」

 ~後略~
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猛獣王S
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