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TPPをめぐる俗論を反証する②~「国益VS農業保護」論は、国益に反する

続きです。
『TPPをめぐる俗論を反証する 緊急出版『TPP反対の大義』より』(農文協の主張) より転載します。
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●「国益VS農業保護」論は、国益に反する

TPPをめぐって大マスコミは「国益VS農業保護」という「わかりやすい」構図を描き、それが農家も含め、少なくない影響をもたらしているが、この「国益」は「国益にあらず」として本書の多くの執筆者が問題を提起している。先に紹介した鈴木宣弘氏らは、「『農業保護をとるか、TPPの利益をとるか』ではなく、『一部の輸出産業の利益のために失う国益の大きさ』を考えなくてはならない」ことを実証的に示したうえで、「国益」の基本である「食料供給」についてページを割いて論じている。

「2007年から2008年にかけて起こった世界食料危機は、日本が現在の経済力を維持し続けることができたとしても、食料輸入の安定的保証を取り付けることがいかに難しいかを明らかにした。諸外国と広く協定関係を結べば、輸出規制の禁止も含めて優先的な食料供給を確保できるとの見解もあるが、仮に輸出禁止などの条項を加えることができたとしても、いざというときに自国民の食料をさておいて海外に供給してくれる国があるとは思えない。不測時においてはどの国も、まず自国民の食料確保や自国の市場安定を図るという、国家として最低限の責務を果たさなければならないからである」

「米国は、いわば、『安く売ってあげるから非効率な農業はやめたほうがよい』といって世界の農産物貿易自由化を押し進めてきたため、基礎食料の生産国が減り、米国をはじめ少数の輸出国に国際市場が独占されつつある。少数の売り手に依存する市場構造では、小さな需給変動に反応して価格が急上昇しやすく、逆に低価格化が起こりにくくなる。また、高値期待から投機マネーが入りやすく、不安心理から輸出規制という食料の囲い込みも起きやすくなり、価格高騰がますます増幅される。たとえばコメは、先般の食料危機時にも世界全体の在庫水準は前年より改善していたにもかかわらず、他の穀物が高騰しているなかでコメに需要が流れるという不安心理が増幅され、コメ輸出規制へと連鎖した」

「米国の都合に振り回された典型例がメキシコである。メキシコでは、NAFTA(北米自由貿易協定)で主食のトウモロコシ生産農家が潰れ、米国から安く買えばいいと思っていたら、こんどは価格暴騰で輸入も困難な事態に追い込まれてしまった」

そして、日本は米国の食料戦略の「標的」になっているとして、こんな話を紹介している。

「ウイスコンシン大学のある教授は『食料は軍事的武器と同じ武器であり、直接食べる食料だけでなく、畜産物のエサが重要である。まず、日本に対して、日本で畜産が行われているようにみえても、エサをすべて米国から供給すれば、完全にコントロールできる。これを世界に広げていくのが米国の食料戦略だ。そのために農家の子弟には「頑張ってほしい」と授業で教えていた』と言われる(大江正章『農業という仕事』岩波ジュニア新書、2001年)」
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続く




猛獣王S
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