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マスコミ各社の滑稽なロシア語排斥 かつての「敵性語」を彷彿とさせる時代錯誤

長周新聞 リンクより

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 4月に入って、マスコミはいっせいにウクライナの首都の呼称を「キエフ」から「キーウ」に変えて報道している。「チェルノブイリ」や「ハリコフ」などの都市も、それぞれ「チョルノービリ」「ハルキウ」に変更した。政府が3月31日、各省庁が作製する資料などでは、ロシア語に沿った表記をウクライナ語に沿った表記に変更すると発表したことに従った形だが、これまでなじんできた呼称の突然の変更に国民はとまどっている。

 中国の首都「北京」の表記を中国語にもとづけば「ベイジン」であり「ペキン」ではない。国名も「チューゴク」ではなく「チョングォ」になる。さらに広げれば「イギリス」(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)も「オランダ」(ネーデルランド)も当該国での呼び名ではない。早い話が日本を「ニホン」「ニッポン」と呼ぶ国はないことから見ても、これは国際的にも共通していることだ。

 駅の案内板のロシア語表示を撤去したり、ロシア語学習者を侮蔑する風潮への批判が高まっているが、そのなかで、戦時中に英語を敵性語として排斥したことを思い起こし、それと同じ愚かさを指摘する声が広がっている。

 戦時中、女学校で学んだ高齢者が「英語の授業がなかったので、ローマ字もわからない」と嘆くように、英語教育は「随意科目」(強制ではなく自発的削減)とされた。英語教師は肩身の狭い思いで、軍事教練の指導に回された体験を語っている。また「パーマ」を「電髮(でんぱつ)」と呼び、野球用語も敵性語として「ストライク」が「よし一本」、「アウト」が「だめ」になったことも笑い話として語り継がれている。

 今から80年ほど前、「鬼畜米英」の文化、それを学ぶツールとなる英語は「敵性」だとして排斥する風潮が政府、マスコミによってさんざんに煽られた。『朝日新聞』は「抹殺せよ“アメリカ臭”」という記事を掲載した。作家の徳富蘇峰は、英語教育不要論をとなえ、「この戦争においても英語が便利だからといって使い続けていると大東亜共栄圏の建設を目指すべき占領地で、英米文化がまた隆盛になってきてしまう」と主張した。

 そうしたなかで、『サンデー毎日』は『週刊毎日』に、『エコノミスト』は『経済毎日』に誌名を変更。英語排斥の風潮は芸能人の名前から施設や学校名称、さらにはスポーツや音楽にまで及んだ。「ディック・ミネ」は「三根耕一」に、「ミス・ワカナ」は「玉松ワカナ」と芸名を変更した。野球選手の「スタルヒン」は「須田博」になった。

 企業名も同様であった。出版社の「欧文社」の「欧」の文字が「欧州」を想起させるとして「旺文社」に、「キングレコード」は「富士音盤」に、「シチズン時計」は「大日本時計」に、「銀座ワシントン靴店」は「東條靴店」に改名したが、それは一事例にすぎない。
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(高梨俊寛)
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