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都市閉鎖 vs 集団免疫

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新型コロナウイルスの発祥地である中国の武漢で、コロナで入院していたすべての患者が退院したと報じられた。中国は、武漢を含む全国で感染者が減り続けている。経済の再開も進んでいる。浙江省の衣料品などの工場では、コロナ危機前(春節前)の6割ぐらいしか従業員が戻ってきていないが、それでも工場をフル回転して春物の製品を作り、日本などに輸出している。中国では国内旅行も解禁され始めた。中国は、コロナ問題を解決した、コロナに勝利したかのようだ。新型ウイルスは武漢のウイルス研究所から漏洩した疑いが強いのは確かだ。だが、もうコロナは中国に関係なく、欧米や日本など他国の問題になっている感じだ。

しかし、ここで疑問が湧く。中国は、コロナに対する集団免疫を獲得したのか??。獲得していない場合、それでも中国はコロナ危機を解決したと言えるのか??。実のところ、中国は集団免疫に至っていない。武漢の病院が最近、院内の病院関係者と通院者、退院者らを対象に抗体検査を実施したところ、過去にコロナに感染しことがある(コロナの免疫を持っている)人は約3%しかいなかった。これが武漢全体の状況を象徴しているのなら、武漢は集団免疫にほど遠い。

武漢は中国で最初にコロナに感染した地域なので、武漢がこんな感じなら、中国の他の地域も、免疫保持者は3%かそれ以下であり、中国全体が集団免疫にほど遠い。中国は1月末以降、全国的に強烈な都市閉鎖を2か月以上にわたって行い、感染拡大を全力で止めた。その結果、感染拡大が止められ、新たな感染者が少なくなった。しかし、都市閉鎖が強烈だったため、無発症の感染者が増加して集団免疫が形成されていく過程が進まず、免疫保有者が少ない状態のままだ。

免疫保有者が少ないところに外から新たな感染者が入ってくると、再び感染が広がってしまう。免疫保有者が60%以上ぐらいになると、感染者が外から入ってきても感染が広がりにくい集団免疫の状態になる。中国は、国内の感染が落ち着いて国内の人の移動や交流が再開できても、国外からの人の流入と、中国人の海外渡航を、今後もずっと大きく制限し続けねばならない。中国は、他の世界の国々がすべて集団免疫を獲得するまで、外の世界と人的な交流ができず、国を閉ざし続けることが必要になる。世界が集団免疫を獲得するまで、どのくらいかかるのか。コロナ危機が中国で発祥したのは昨年末で、すでにそれから120日ぐらい経った。今後その2倍の240日たって今年末になれば、世界的に集団免疫が獲得できるのか??。その場合でも、年内は国際的な人的交流ができなくなる。日本に中国人旅行者が来ないままだし、世界の航空会社の多くが潰れるか国有化される。

4月27日にはニュージーランドでの新規感染者が1人になり、NZ政府はコロナ問題を解決したと勝利宣言した。NZは3月下旬日から続けてきた都市閉鎖を解除した。NZは集団免疫を獲得したのか??。全く違う。NZでは抗体検査が行われていない。NZ政府は「抗体検査はあてにならない」と言って、検査キットの輸入すら禁止しようとしている(実際には、中国製で誤判断する検査キットがあり問題になったが、それら以外の抗体検査キットは95%以上の確度だ)。NZの隣の豪州には、集団免疫など神話だと断言する「専門家」すらいる。NZの上層部は集団免疫の概念自体を嫌っている。これまでの経緯から見て、NZの免疫保有率も3-5%ぐらいで集団免疫にほど遠いだろう。となると、NZも中国同様、今後もずっと外国との人的交流を大幅に制限し続ける必要がある。

中国とNZは、コロナに勝利した「戦勝国」どうしだが、両国間の人的交流は再開できるのか??。難しいだろう。相互に、相手国のコロナ感染の状況を完全に信頼できる状態ではなさそうなので、交流を再開できない。北欧のスウェーデン政府筋は、まもなく集団免疫を獲得できると言っている。スウェーデンが集団免疫を獲得したら、中国やNZはスェーデンからの渡航を認めるか??。無理だろう。信用できないからだ。集団免疫の形成を高い確度で確定する方法もまだない。

世界的にコロナ危機が完全に終息したと信じられるまで、中国もNZも世界との人的交流を再開できない。コロナ危機の世界的な完全な解決・・・それはいつか??。今年末ではない。来年末か??。わからない。ワクチン完成時か??。それなら2025-30年ぐらいになる。ワクチンも完璧かどうか不明だ。新型ウイルスの特性自体が不確定なので、何も確定できず、信用できない。途方もない長期間、国際的な人的交流や国際化が停止され続ける。世界中の旅客機を作るボーイング社は、経営の立て直しに何年もかかると発表した。当然だ。立て直せるかどうかも不明だ。国際化・グローバリゼーションの状態は完全に終わる。金融バブル漬けだった米国が金融破綻し、米国の覇権体制が崩壊する。

免疫保有者が3%しかいない武漢と対照的に、米国のニューヨーク市は免疫保有者が21%いる。NY州が最近、広範な抗体検査を実施した。武漢は1月末から都市閉鎖に入ったが、NYは都市閉鎖が3月末からだ。武漢で最初のコロナ発症者が出た昨年末以来、武漢など中国からNYに渡航した人からNY市内に感染者が広がり、都市閉鎖を開始する前にかなりの感染者(多くは無発症)がいたことになる。都市閉鎖に入るのが遅いほど、免疫保有者が多くなると推測できる。

NY市以外のNY州では、人口密度が低い地域ほど免疫保有者の割合が少ない。少ない地域だと5%ぐらいの交代保有率だった。都会の方が、都市閉鎖(外出禁止)前の人々の濃厚接触の頻度が高く、それが免疫保有率の高さにつながったのだろう。NY市の免疫保有率が21%なら、東京の免疫保有率は30%以上かもしれない。中国に近い東京の方が、NYよりもコロナ危機発生直後の中国からの渡航者が多く、感染拡大の度合いも大きかったと考えられるからだ。NYの都市閉鎖は3月末からだが、東京の非常事態(準都市閉鎖)は4月上旬からで、東京の方があとだ。日本は、欧米や中国よりゆるい自粛にとどめて経済を生かしつつ、隠然と集団免疫の形成を目指そうとしたが、トランプからダメだと言われて経済を自滅させる非常事態宣言をやらされ、集団免疫の形成を遅延させられている。 (コロナ危機はまだ序の口)

木戸康平
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