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トイレットペーパー不足が映し出す、新型コロナ問題の本質①

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週末からスーパーではちょっとしたパニックが起きています。棚からトイレットペーパーなどの紙製品が消え、カップ麺やミネラルウォーターまで品薄になっているのです。筆者も近所のスーパーでその光景を目にして驚きました。

報道によると、きっかけはSNSで「マスクの増産によって紙の原料が不足する」といったデマが流れたことだったようです。もっともこれに対しては、すぐにメーカーや小売店が「マスクとは原料が異なる」「在庫は十分にある」「97%は国産」などと打ち消し、噂が間違いであること自体は速やかに周知されました。

ところが、品薄はすぐには解消されませんでした。むしろ、そうした報道を受けて売り場に列ができるといったように、火に油を注いでしまったのです。
これは「予言の自己成就」と言われる現象です。「紙の原料が不足する」という噂が打ち消されてからも列に並んだ人は、明らかに違う理由で行動しているわけです。おそらく「そろそろ家の在庫がなくなりそうだから急いで確保しよう」といった実需や、「今後もこんなデマが流れて品薄になるなら、いつもより多めにストックしておこう」という判断に基づいているのでしょう。その結果、現実に品不足は生じてしまいます。こうして、「予言」に根拠があろうがなかろうが、ある時点からはみんなの合理的な行動の結果、それが実現してしまうわけです。

今回の騒動についても、卸売業者などが在庫を放出すれば、すぐに沈静化すると思います。
ただ、こうしたパニックが起きた背景については、きちんと検証して教訓を導き出しておいた方がいいでしょう。それは、我々が当たり前だと思い込んでいる社会システムは、ちょっとバランスが崩れただけで、簡単に機能不全に陥ることがあるということです。
実は、筆者はオイルショック時のトイレットペーパー騒動についても、発生からちょうど40周年だった2013年に記事を書いたことがあります。発端となった大阪のスーパーでトイレットペーパーの売り場担当をしていた方にインタビューしたのです。

調べて分かったのは、当時も今回と同様、トイレットペーパーの供給体制にはまったく問題がなかったということです。在庫も十分あったし、それについても報道されています。しかし、騒動は拡大していった。今回と同じ「予言の自己成就」が起きてしまったのだと考えられます。
実は、商品の多くは、いつもより少し需要が増えるだけで簡単に品不足に陥ります。メーカーや流通業者はできるだけ在庫を抱えたくないので、厳密に需要を予測し、そのギリギリまでしか供給しないからです。需要が急増しても、長く続くかどうかわからなければ生産や仕入れを増やすのはリスキーです。だから、一時的なパニックだと分かっていれば供給を増やそうとはしません。すると、一種の駆け込み需要が生じて、品薄に拍車がかかってしまうのです。

さて、本題はここから。実は、一連の騒動の原因である新型コロナのリスクも、同じ構造を持っています。これまで分かっている情報を総合すると、このウイルスは感染力が非常に強い反面、毒性は必ずしも高くありません。若くて健康な人の場合は、罹患してもほとんどが無症状や軽症のまま治るようです。このため、「季節性インフルエンザと危険性は変わらない」と楽観視する声もあります。おそらく、政府の対応が後手後手に回ったのも、毒性の低さに油断した面があるでしょう。

ただし、治療法が確立していないため、重症化してしまうと入院期間は長引き、持病を持った人や高齢者は致死率も高くなります。症状が軽い人が多いため、歩き回って感染を広げやすいという困った特徴もあります。
その結果、何が起きるか。突然、患者が集団で発生するわけです。韓国の大邱では、新興宗教の信者の間で蔓延していたことが判明し、パニックになりました。日本に寄港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号もこれと近い状況です。
これらの事例でも、重症化した人は一部にすぎません。しかし、それでも地域の医療システムを飽和させるには十分でした。重い肺炎になると、人工呼吸器などを着けないと死んでしまいます。しかし、稼働させるには機材と専門知識を持ったスタッフが必要です。その数には限りがあり、急に増やすことはできません。また、普段から他の病気の患者にも使われているので、そもそも空きはそれほどないのです。

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