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池上彰がハッキリ語るメディアの政権への「忖度」と「空気」(2)

引き続き、リンクより引用します。
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■選挙特番で池上彰が心がけていること
池上彰は、政権側から抗議や注文を受けたことはないものの、省庁から「ご説明」が来ることはよくあるという。たとえば、数年前に、テレビ番組で「アベノミクスによって全国で公共事業が増え、東北復興のための工事の労働力が不足している」と解説したところ、国土交通省の担当者が「こういう対策をとっています。そのことを知っておいてください」と説明をしに来たという。こうした対応は、省庁の「世論対策」として、メディアを通じて社会的影響力を持つ人たちを対象に行なわれているらしい。これについて池上は次のように書く。

《人によっては、こうしたことを言外のプレッシャーを受け止めることもあるでしょう。「我々に不利なことは言うなよ。いつもコメントをチェックしているぞ」というわけです。/私は鈍いのでしょうか、これらを圧力とは感じません。さまざまな資料を先方が持ってきてくれるのですから、ありがたく頂戴します。省庁側の立場を知るいい機会です》

こうした姿勢こそ、池上の批評精神の源泉になっているのだろう。選挙のたびに特別番組でメインキャスターを務める池上は、候補者や各党の幹部に対し鋭い質問をすることから「池上無双」などと呼ばれて久しい。池上は、くだんの連載の別の回で、選挙特番での候補者へのインタビューで心がけていることも記している(「伝える仕事」第16回「選挙特番のキャスターになった」、『本』2019年7月号)。そこで彼は、候補者に対し「議員になったら、どんな仕事をしたいですか?」という一般的な質問はしてはいけない、と断言する。「お母さんたちが子育てしやすい環境をつくります」「待機児童をなくします」などといった、当たり障りのない答えが返ってくるに違いないからだ。これでは建前の話に終始してしまう。

池上はより具体的な質問をすることで、本人に自覚や気構えがあるかどうか視聴者に伝わるようにしている。たとえば、ある選挙では、かつて「消費税反対」を訴えて当選したことのあるタレント議員が、消費税引き上げに賛成する政党に鞍替えして公認で立候補した。そこで池上は、「消費税に対する考えが変わったのですか?」と問い質すと、「いや、政党から出てくれと言われたので出たので、政策については打ち合わせしていない」との答えが返ってきた。このやりとりからは、《この候補者の資質や、この候補者を引っ張り出した政党の無責任さが浮き彫りに》なったわけである(前掲)。池上はこうした質問を、とくに芸能人やスポーツ選手など、知名度だけで政党から出馬を要請されたようなタレント候補にぶつけているという。

もっとも、候補者の自覚や資質は、投票のあとよりも前に知りたいところではある。「池上無双」は、むしろ選挙前に特番を組んで発揮されるべきだという意見もあるだろうし、私もそれには賛成する。とはいえ、開票結果が出てすべてが終わるわけではない。当選した候補には当然ながらそこからがスタートであるし、私たち有権者にとっても、当選者たちが今後どんな仕事をするのか見守っていく必要がある。そのためにも、選挙特番で候補者たちの気構えを知ることはけっして無駄ではないはずだ。大切なのは、選挙のときだけでなく、日頃から政治の動向をチェックすることではないか。そのためにも、マスメディアには、政治家に対する忖度抜きで、権力を監視する役割をしっかりと果たしてほしいものである。
池上彰は、きょう7月21日に投開票が行われる参議院議員選挙でも、テレビ東京系の選挙特番「池上彰の参院選ライブ」(夜7時50分〜)でメインキャスターを務める。はたして今回は、どんな質問で候補者や自民党総裁である安倍首相をはじめ政党幹部に斬り込むのだろうか。
(以上です)



佐藤晴彦 
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