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「ドイツに残業がない」なんて、真っ赤なウソ。海外を理想化しすぎる人の言葉には、気をつけよう。

リンクより引用
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ドイツに移住してからというもの、何度もカルチャーギャップを体験した。

そのたびにびっくりしていたわたしだけど、驚いたのは日本とドイツとのカルチャーギャップだけではない。『自分が思い描いていたドイツと実際のドイツの乖離』にもまた驚かされた。

もっとかんたんにいえば、わたしはドイツを誤解していたのだ。とくに、働き方に関して。



わたしはドイツに来た当初、よく「日本は長時間労働だけどドイツには残業がないからいいよね」なんてよく言っていた。

それに対するドイツ人の反応は予想外のもので、100%「ドイツにも残業はある」と返ってくるのだ。たぶん30人以上とことやり取りをしたが、答えはいつも同じ。

労働研究所の職員の方に取材をさせていただいたときも、「ドイツに残業がないなんて言われているんですか? どうして?」と逆に驚かれたほどである。

どうやら、わたしが触れてきたドイツ情報は、理想化されすぎていたらしい。


■普遍的で万能な正解があればもうみんなやっている
フランスが万能少子化改善策を見つけ出したのなら、わたしが住んでいる隣国ドイツはすでに取り入れて解決しているだろうし、フィンランド教育法が最高なら科学的に研究され世界基準となり、みんなめちゃくちゃ頭が良くなっているはずだ。



ドイツ人が超絶効率的に働き、それによって経済を発展させ、だれも残業しなくて済むように完璧に仕事を割り振れるのであれば、アメリカや中国あたりの企業が札束を積んで、もっと積極的にリクルートしているだろう。



でも当然ながら、実際にはそうなっていない。

それぞれの国は、それぞれちがった歴史を辿ってそこに行き着き、一方で問題も抱えている。完璧な国なんてないのだ。

「ドイツの働き方は超絶ホワイト」

「フランスの夫婦はいつまでも恋人関係である」

「フィンランドの教育方針が優れている」

こういう情報が一概にウソだというわけではない。



ただ、良いところだけを切り取り欠点や問題点を意図的に無視したり、そういう社会や制度になった背景を踏まえず万能であるかのように喧伝したりして、外国を理想化している傾向はあるんじゃないだろうか。


■外国は理想投影の対象として都合がいい
このような『外国の理想化』の原因のひとつは、自分の理想の投影にあると思う。

ドイツであれば長時間労働、フランスであれば少子化、フィンランドであれば学力低下。

現在日本が抱えているこういった問題を解決する希望として、「そんな問題が起こっていない、もしくは解決した国」の存在は好都合だ。


その国を引き合いに出して「日本もこうすればいい」と言えばいいのだし、ちょっと誇張して自分の理想を上乗せして伝えたところで、日本語の情報であれば現地の人からなにか言われる可能性も低い。

そしてそういう文脈でドイツを語るなら、ドイツは『残業がなくみんなが効率的に働く経済大国』であってもらわないと困る。

成果を求められる管理職が場合によっては夜まで働くことや、生産性は高くとも担当主義で自分の仕事以外無関心である現実なんて、興ざめなのだ。そんな情報は求められていない。



必要なのは、日本を導いてくれる可能性のある素敵なお手本。自分の理想を重ね合わせるのに都合のいい外国(できれば欧米の国)だ。


■その海外情報、理想化されすぎていませんか?
理想をなにかに重ね合わせるのは、だれもが経験することだろう。

アイドルや漫画のキャラクターにハマり「この人と付き合ったら」なんて妄想をするとき、対象は基本的に『理想の人』として描かれる。



それと同じで、「日本ももこうだったらいいのに」という文脈で、美化されすぎている(と思われる)海外情報が結構ある。

ドイツの理想化された働き方に関しても、日本人が期待しているドイツ像を意識したり、自分自身の理想を重ね合わせた結果なのかもしれない。

(ドイツが好きでドイツに移住したわたしは当初、ドイツにおけるすべてのものが新鮮で革新的でキラキラしているように見えた。だから現実より良く見えていた部分もあるだろうし、移住した国が「理想的であってほしい」と思う気持ちもわかる)



もちろん、テーマに対し、多くの人が求める情報を『供給』するのはある程度当たり前だ。

箱根駅伝がテーマなら、小学生のときからトップ選手だった人より、無名の県立高校でがんばってケガを乗り越えて出場した人のほうが「都合がいい」だろう。



ただ、海外情報の場合、多くの人が事実かどうかを自分で確認・体験できない、そういう国がありえてもおかしくないことから、理想化された姿が『事実』だと思われやすい。



でも、それは結構な問題だと思う。まやかしのユートピアの情報に、どれだけの価値があるんだろう。

たしかに、他国から学べることはある。しかし実態を捉えないままでは「なにを真似すべきでどこを真似できるか」の判断ができない。そういう意味で、理想化された海外情報の広まりは危惧すべきだと思う。



「そんな理想的な環境はありえるのか」

「因果関係にこじつけはないか」

「信じるに足る具体的な話をしているか」

「背景の説明はあるか」など、いろいろな点から、「その海外情報は理想化されすぎていないか」を考えることが必要だし、ライターの端くれとして、実態の伴わない理想化には気をつけていきたい。





根木貴大
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