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惨敗した石破氏が意気軒昂になれる裏事情

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自民党の総裁選は、安倍晋三首相があっさりと3選を決めた。安倍氏に挑んだ石破茂元幹事長は事前の予想よりも得票を上積みしたが、安倍氏の半分以下しか票を得られない惨敗だった。それにも関わらず石破氏は意気軒昂で、「次」に向けた準備を進めているという。なぜここまでポジティブでいられるのか――。


2018年9月20日、自民党総裁選挙を終え、手を取り合う安倍晋三首相と石破茂元幹事長(写真=時事通信フォト)

石破氏の表情は、敗者のそれではなかった

石破氏は敗北の翌々日の22日、地元鳥取県倉吉市で支援者を集めマイクの前に立っていた。

「選挙は終わった時から次の選挙が始まる。いつ何があってもいいようにしておく」

語気を強めて語る石破氏の表情は、敗者のそれではない。拍手する出席者も憔悴した様子は感じられない。

総裁選の結果をおさらいしておきたい。議員票は安倍氏が329票、石破氏が73票。党員票は安倍氏が224票、石破氏が181票。合計は安倍氏553票、石破氏が254票だ。安倍氏は3分の2以上の票を得て、石破氏は安倍氏の半分も取れなかった。議員票にいたっては得票率18%にとどまった。

総裁選に初めて挑戦する議員なら「善戦」と言ってもいいだろう。例えば今回の総裁選で出馬を目ざし、かなわなかった野田聖子総務相が「254票」を取れば健闘だ。しかし、石破氏は6年前の総裁選にも出馬しており、本気で首相の座を目指して活動していた。それで善戦といえる得票とはかけ離れている。

政権寄りメディアも「石破氏健闘」を強調

にもかかわらず、マスコミ各社の報道は石破氏に好意的だ。総裁選の結果を報じる21日朝刊の見出しは「石破氏善戦 地方票の45%」(朝日新聞)「石破氏善戦 党員票45% 議員票も20上積み」(毎日新聞)、「石破氏健闘『次』狙う」(読売新聞)、「石破氏『ポスト安倍』望み」(産経新聞)、「石破氏 目標超す地方票」(日経新聞)など。

安倍政権に批判的な朝日、毎日の両紙が石破氏に好意的になるのは分かるが、安倍氏寄りの論調が目立つ読売、さらには総裁選期間中に石破氏を批判する記事を何度か掲載した産経まで石破氏に温かい見出しの記事が並ぶ。

おそらく、各紙が事前予測で、石破氏の得票がもっと低くなると予測していたため、整合性を取るために「石破氏健闘」と書かざるをえなかったのではないか。そんな「業界の事情」で、石破氏は得したといえる。

国民に忘れられないように、党内で嫌われすぎないように

安倍氏の求心力の根源は「選挙に強い」ことだった。実際、首相に返り咲いた12年末以降、衆院選、参院選で勝利を重ね、安定政権を築いた。負ければ、一気に失速する。「参院選の敗北」は、改憲勢力が参院で3分の2を割り込むことを意味しており、憲法改正が遠のく。悲願の実現が絶望的となったら、政権はもろい。

そうなった時「ポスト安倍」候補の1番手は、間違いなく石破氏になる。それは参院選後の1年後に、くるかもしれない。

石破氏は「惨敗」したことによってポスト安倍のポジションを得つつある。そう考えると冒頭紹介した22日の「いつ何があってもいいようにしておく」という発言が重みを増す。

ただ反主流派が存在感を示し続けるのは難しい。ポストに恵まれないだけに騒がないと目立たない。逆に、何でも政権批判ばかりしていると、党内から、うとんじられてしまう。

国民に忘れられないように、そして党内で嫌われすぎないように。石破氏が反主流派のリーダーを演じるのは簡単な仕事ではないのも事実だ。



匿名希望
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