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次の東京は「五輪後の不況」を避けられるのか~五輪が持続的な成長をもたらすとは限らない

世界中がお祭り騒ぎになる五輪は、実は国債と同じで、単なる目先的な(一時的な)活性化をもたらすだけだということが分かります。しかも五輪後はほぼ例外なく開催国は経済不況に陥る。

リンクより引用します。
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オリンピックは、開催国の経済を刺激し、活況をもたらすことが期待される。開催前には、会場の建設、都市のインフラ整備、報道機関や観戦客を接遇するソフト面での準備などで投資が促され、その相乗効果で国内需要が拡大すると見込まれる。しかし、オリンピック開催後はどうだろうか。オリンピックに起因する経済刺激効果は消失し、それが高じると経済成長率が鈍化することも懸念される。

■証券不況に見舞われた前回の東京五輪後
ちなみに、かつて1964年10月に開催された東京オリンピックの後、高度成長期の最中「昭和40年不況(または証券不況)」と呼ばれる景気後退に直面した。その原因には、オリンピックの経済刺激効果がなくなっただけではなく、金融引き締め政策に起因した設備投資の減少、企業業績の悪化があり、さらには株価下落等の影響を受けた山一證券の取り付け騒ぎと経営危機が追い打ちをかけた。

当時、日本の実質経済成長率(実質GDP増加率)は、1963年8.8%、1964年11.2%だったが、1965年は5.7%と鈍化した。結局、山一證券の経営危機に対しては、日銀特融で対処して金融システム不安に波及することを避け、(現在の財政法が施行されてから)戦後初めて国債を発行して短期的に需要を喚起した。この経緯を知る人は、2020年の東京オリンピック後に、1964年の東京大会と似たような不況に直面するのではないかという見方をする人もいる。

オリンピックは、スポーツの祭典としてだけでなく、開催国の経済を活性化するイベントとしても注目されるが、過去の大会で開催国の経済はどうなったかをみてみよう。経済構造や統計の取り方によって差異が生じてはいけないので、以下では、OECD(経済協力開発機構)が統一的に公表しているGDP統計に基づいて比較可能で、石油ショック(あるいはスミソニアン体制崩壊後の変動相場制移行)以降に開催されたオリンピック夏季大会(1980年モスクワ大会のソ連を除く)9回について、開催国の実質経済成長率が大会開催前後でどう変化したかを明らかにする。

実質経済成長率の高低を比較するにしても、高成長期にある国と安定成長期にある国とでは単純には比較できない。そこで、オリンピック開催年の実質経済成長率を100として比較する。ちなみに、1980年前後のソ連のデータはとることができない。

■アトランタを除き軒並み成長率が鈍化
1976年のモントリオール大会以降、開催国の実質経済成長率を、オリンピック開催年を100とした翌年の成長率の大きさで指数化した(日本のみ、旧基準の内閣府「国民経済計算年報」に基づく値)。この値が100を超えていると、開催翌年の成長率は開催年よりも高くなったこと意味する。100を割っていると、開催翌年の成長率は低下したことを意味する。マイナスの値は、開催翌年の成長率はマイナスとなったことを意味する。

1996年のアトランタ大会後のアメリカ以外はすべて、開催翌年の実質経済成長率は、開催年の成長率よりも鈍化していたことがわかる。1992年のバルセロナ大会後のスペイン経済では、開催翌年はマイナス成長だった。分析対象とした9大会中8大会は、オリンピック開催翌年には成長率が鈍化していた。さらにいえば、オリンピック開催年と開催前年の2年間と、開催翌年と開催翌々年の2年間の実質経済成長率を比較した指数も、9大会中6大会は成長率が鈍化していることがわかる。

では、オリンピック開催翌年の成長率鈍化が、どんな要因で生じているか。要因の詳細は、開催国によって差異があるものの、OECDの統計をみると、大まかにいえば次のようなことが言える。オリンピック開催翌年に成長率が鈍化した国では、大半の国で民間設備投資が鈍化(スペイン、オーストラリア、ギリシャでは開催年より減少)している。

公共投資は、1992年のバルセロナ大会後のスペインと2004年のアテネ大会後のギリシャでは減少しているが、他では必ずしも顕著な変化があるわけではない。民間消費は、オリンピック開催前後で顕著な傾向が必ずしも観察されなかった。逆に言えば、オリンピック開催を契機に、民間消費が恒常的に増加するというわけではないようである。

■潜在成長率をどう高められるか
こうしてみると、オリンピック開催を契機に、開催国経済で持続的な成長が実現できる、と単純にはいえない。別の言い方をすれば、オリンピック開催の経済効果は、一時的な需要喚起にはなっても、潜在成長率を後戻りしない形で引き上げることにつながるわけではないといえる。オリンピックは、開催国にとって、その時代の象徴にはなるとしても、マクロ経済にとって新しい時代の幕開けを告げるものには必ずしもなっていないようである。

1964年の東京大会も、高度成長期という時代の象徴にはなったが、高度成長期の次のマクロ経済体制の幕開けを予見するものというわけではなかっただろう。日本経済にとって、高度成長期の次は、変動相場制へ移行した安定成長期を迎えることとなった。

4年後の2020年には、いよいよ東京でオリンピックを開催する。東京大会の成功に向けた準備に全力を注ぐのも大切だが、東京大会開催後の日本経済をどうするかも、今から準備をしておくべきである。重要なポイントは、オリンピックの一時的な需要喚起ばかりにとらわれず、2020年東京大会後にも効果が残る形で日本の潜在成長率をどう高められるかである。




佐藤晴彦
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