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「五輪の経済効果」は本当に正当化できるのか


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■政治と金の祭典

オリンピックの運営が腐敗する予兆は、1996年アトランタ大会に現れていた。アトランタオリンピック組織委員会(ACOG)は開催費として22億ドルを調達し、大会後には少しばかりの黒字を計上したが、都市学者のジョン・R・ショートの指摘によれば、「それ以外に、政府の諸機関から20億ドルが支出されている。そのうちの9億9600万ドルが政府出資金、2億2600万ドルが政府基金、8億5700万ドルが地方基金である」。

一部の経済学者はオリンピック開催国に近い国々で雇用がやや増えたことを指摘している。だが、もっと詳しい分析では、経済への長期的な影響はもちろんのこと、有意な影響すら十分に証明することはできなかった。雇用へのポジティブな影響が見られたのはオリンピックの開催期間中のみ、また下記の3部門のみに限られた。

(1)小売り
(2)宿泊飲食サービス
(3)アート、エンターテインメントおよびレクリエーション

調査にあたった機関はこう結論した。「雇用への影響はごく小さく、部門的にも地域的にもごく一部に限られるため、国家レベルの機関から公金を拠出することは正当化できない」。アトランタの一般市民は経済効果を実感することはなかったが、ACOG委員長のビリー・ペインは66万9000ドルを超える俸給をもらっていて、アメリカの非営利組織の代表のうち最も高収入だった。


■90年にわたるパートナーシップ

そのほか、明らかに恩恵を受けていたのが、アトランタを拠点にする超巨大企業で、1928年のアムステルダム大会以降ずっとオリンピックのスポンサーであるコカ・コーラ社だ。


『オリンピック秘史 128年の覇権と利権』(早川書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

その影響力は、その有名なキャッチフレーズのとおりに「本物」だった。実際、コカ・コーラ社はマーケティング料およびスポンサー料として5億ドルを提供したほか、聖火リレーの経費を負担し、アトランタのダウンタウンに2000万ドルをかけてコークのテーマパークを建設し、オリンピックの競技施設に1000人のボランティアを派遣した。

企業スポンサーの権利独占は、オリンピックに無断で便乗する商法を防ぐ目的で作られた市の条例によって保証されていた。そのなかで、オリンピックスポンサーには高さが10階建てのビルほどもある巨大な看板を市のあちこちに設置することが特別に許可された。コカ・コーラ社は密かに「政治的な腕相撲」を行い、税制優遇措置を勝ち取った。このアトランタ大会はまもなく「コカ・コーラ・オリンピック」と呼ばれるようになった。

オリンピックの開催に向けて、オリンピックパーク周辺の賃貸住宅の家賃は高騰した。特に傲慢な不動産管理業者は、オリンピック期間中の家賃高騰に乗じて大儲けすることを企み、テナントに月3000ドルの家賃を払え、さもなければ立ち退けと迫った。公営共同住宅はオリンピックの準備のために取り壊され選手村が造られた。

さらに、ホームレスを支援する人びとによれば、1995年から1996年の2年間だけでも9000人を超えるホームレスが、大抵はたいした理由もなく逮捕された。これは社会的浄化プログラムの一環として行われたことで、その後連邦当局に見とがめられ、停止命令を下されている。ホームレスや貧困者のなかにはアラバマ州やフロリダ州行きのバスの片道切符を渡された者までいた。華々しい祭典の陰で、社会的弱者はその存在を黙殺されるのだ。
調査にあたった機関はこう結論した。「雇用への影響はごく小さく、部門的にも地域的にもごく一部に限られるため、国家レベルの機関から公金を拠出することは正当化できない」。アトランタの一般市民は経済効果を実感することはなかったが、ACOG委員長のビリー・ペインは66万9000ドルを超える俸給をもらっていて、アメリカの非営利組織の代表のうち最も高収入だった。

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匿名希望 
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