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スケープゴーティング現象にいかに向き合うか~批判的思考、無意識の意識化

事実を掴み、活力ある社会をつくっていくために求められる、心構え・思考性、として。

リンクより引用
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スケープゴーティング現象にいかに向き合うか

スケープゴーティングは先述したように、人の心の深層にある無意識の欲望や社会に溢れている欲求不満のもとになるような原因によって引き起こされる可能性が高い。しかし、それを無くしたり、低減したりすることは困難である。ただし、これまで述べてきたような心理的メカニズムが働いていることを人々が日頃意識すれば、そのような事態にある程度適切に対応できるものと思われる。

それから先にも述べたようにスケープゴーティングにはマスメディアの報道のあり方が大きく影響している。何よりも報道する側の信頼性向上が望まれるが、日本新聞協会広告委員会の調査によれば新聞に対する信頼性は次第に低下し2013年度は、信頼していると回答した人は3割しかいない。それはメディアの様々な不祥事、特にヤラセや誤報や誇張表現、スケープゴートを仕立て人権を傷つける報道被害の存在もその背景にあると考えられる。

日本新聞協会は2000年に新聞倫理綱領(改訂版)を発表している。その主項目は自由と責任、正確と公正、独立と寛容、人権の尊重、品格と節度である。そのような綱領の存在にも関わらずそのイメージがかなり失墜していることは否めない。この問題に対処する試みの一つとしてアメリカでは「卓越したジャーナリズムのためのプロジェクト」というメディア監視NGOが一線級のジャーナリスト25名によって1997年に設立され、活動しているとのことである。

それからスケープゴーティングを抑制するためには、受け手の能力向上が求められる。それは人の認識が様々なバイアスによって歪められているからである。このバイアスを防ぐには、批判的思考が大切であると言われている。批判的思考には無意識の意識化という側面がある。

スケープゴーティングの発生には投影や置き換えのような無意識のメカニズムが働いている。これを意識化することができればスケープゴーティング現象を緩和することが可能になると考えられる。

批判的思考の要点としては、a)自分の視点があくまでも1つの視点に過ぎないことに気づくこと、b)他者の視点に身を置いてそれを共感的に理解すること、c)たとえ自分の考えを否定することになるとしても両者を同じ基準で判断すること、などが挙げられる。

さらに批判的思考の態度として、自分の知識の限界に気づく「知的謙遜」、これまで考えなかったことを考えようとする「知的勇気」、他人を理解する「知的共感」、自分と相手を同じ基準で評価する「知的誠実」、自分を疑うという困難なことをあえて行う「知的忍耐」、自分の感情とは関係なしに評価を行う「知的正義感」、相手の言うことにも耳を傾ける「開かれた心」などが大事であるということである。

そのような態度を子どもたちに身につけさせるための試みも行われている。小学5年生を対象に松本サリン事件(オウム真理教によって引き起こされた殺人事件であったが、無実の人が犯人扱いをされ、メディアによって大々的に報道された事件)の新聞記事を資料として提示し、授業を行っている例もある。

その中で、子どもたちに、記事が憶測で書かれてしまったことや、誤報が生み出された背景などについて議論させている。それを通して、新聞記者が記事を書くときの気持ち(締め切りについてのあせりや不安)、読者が新聞を読むときの構えや態度について理解を深めさせることを企図している。このような学習を積み重ねることによって、スケープゴーティング現象の理解と意識化が可能になるであろう。
 




根木貴大
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