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原田伊織著「明治維新という過ち」が訴える歴史のウソ ~その五 『坂本龍馬』の実像

司馬遼太郎が描いた「竜馬がゆく」。多くの人がこの小説に描かれた竜馬を『坂本龍馬』の実像だと信じ込んだ。そしてこのことが幕末動乱史の解釈を大いに誤らせたことは事実である。坂本龍馬とはそれほど巨大な人物でも何でもない。「竜馬がゆく」における竜馬を『坂本龍馬』にすっぽりと重ねてはいけない。薩長同盟の仕掛人、大政奉還の献策、船中八策の立案策定をはじめ、様々なエピソードに至るまで、この人物に関しては麗しき誤解があまりにも多い。



『明治維新という過ち~日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト~』
「はじめに~竜馬と龍馬~」より一部抜粋
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過去、坂本龍馬については、三度のブームがあった。つまり、龍馬とは、吉田松陰などと同様に死後その名を広く知られるようになった人物である。
彼を世に出したのは、新政権がようやく落ち着きをみせ始めた明治十六年に地元高知の地方新聞が掲載した連載小説である。これによって、龍馬は世に出た。

二度目が日露戦争時だといわれる。龍馬が皇后の夢枕に立ち、「帝国海軍は絶対勝つ!」といったという、当時の有力紙に掲載された有名なエピソードである。いうまでもなく日本海海戦の直前のことだが、これなどは、土佐出身の宮内大臣田中光顕あたりの作り話であるとしか考えられない。

三度目が、昭和三十七年から産経新聞に掲載された司馬さんの『竜馬がゆく』が起こしたブームである。このブームが定着し、龍馬は今や国民的人気を得ているといっていいだろう。

一つ、二つ冷水を注しておくと、坂本龍馬という男は長崎・グラバー商会の“営業マン”的な存在であったようだ。薩摩藩に武器弾薬を買わせ、それを長州に転売することができれば彼にとってもメリットがある。グラバー商会とは、清国でアヘン戦争を推進して中国侵略を展開した中心勢力ジャーディン・マセソン社の長崎(日本)代理店である。

この存在が「薩長同盟」の背景に厳然とある。朝敵となった長州は武器が欲しい、薩摩は米が欲しい……この相互メリットをグラバー商会が繋いだ。薩摩は永年密貿易の経験があり、長州は口では「攘夷断行!」と喚いてはいたが、既に秘密留学生(井上聞多、伊藤俊輔がこれに含まれている)を送り出していたほど共に幕府の禁令を無視する存在であった。

つまり、薩摩小松帯刀、長州桂小五郎が重視したのはグラバー商会であって、グラバー商会の利益を図る龍馬が「薩長同盟」に立ち会うようになったのは極めて自然な経緯ではなかったか。私は、そう考えている。盟約書の裏書は第三者なら誰でもいいわけで、それがグラバー商会の意向を反映する人物なら、この同盟の目的からみても、あれほど憎しみ合った長州と薩摩双方とも納得できるはずだ。単なる一人の脱藩浪士なら、その人物を個人としてどれだけ評価したとしても、潜在的に倒幕の意志をもち続けてきた外様二大雄藩が、藩の命運を託することなどありようがないのだ。

尤も、竜馬とグラバー商会の関係から最近では龍馬=フリーメイソン説が出ているが、それは“図に乗り過ぎ”というものであろう。いずれにしても、坂本龍馬とは、日本侵略を企図していた国の手先・グラバー商会の、そのまた手先であったということだ。

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太刀川省治
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